近視進行抑制治療
当院では、小児(6歳~12歳)の近視進行を抑制する治療を行っております。
近年、小児の視力低下は急増しており、小学生の3割以上が視力1.0未満であると
言われています。
近視進行を抑制する方法として、当院では下記の治療を行っております。
低濃度アトロピン点眼薬による近視抑制
■近視とは
近視とは、眼球が楕円形に変形する(眼軸長が伸びる)ことでピント位置がずれて起こり、
一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。
そのため眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するために重要となります。
■低濃度アトロピン点眼薬
アトロピンは、毛様体筋の調節を麻痺させて、瞳を大きく広げる効果があり、濃度1%の
アトロピンは以前から眼科で小児の屈折検査に使用されていました。また、アトロピンには
「眼軸長の伸展(近視進行)」を抑制する強力な効果があることが分かっています。
濃度1%のアトロピンでは、散瞳持続効果が長いため強い眩しさ、近くを見たときにぼやけて
見える、アレルギー症状や不快感などの副作用がありましたが、低濃度のアトロピンでは
そのような不快な副作用はほぼありません。
近年、シンガポールの研究で、0.01%アトロピン点眼を1日1回2年間使用したところ、
近視進行が抑制され、さらに点眼を中止した後も効果が持続することが示されました。
低濃度アトロピン点眼は副作用が少なく使いやすい目薬ですが、人によって効果が異なります。
低濃度アトロピン(商品名:マイオピン™)点眼薬による治療は、保険適用外の自費診療と
なります。
■マイオピン™の特徴
1. 副作用が少ない近視進行抑制点眼薬です。
2. 近視の進行を平均60~70%抑制することができます。
3. まぶしさに影響を及ぼしません。
4. 目の遠近調整機能(手元を見る作業)にほとんど影響を与えません。
5. 近見視力の低下にほとんど影響を与えません。
6. 毎日、就寝前に1滴点眼するだけの、非常に簡単な治療法です。
7. 目薬1本(5ml)は両眼用に1ヶ月間使用可能です。
8. 本製品はGMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の薬品会社により製造されています。
■治療の対象となる方
1. 6歳~12歳までの軽度~中程度(-1D~-6D)程度の近視の方
2. 3ヶ月毎の定期的な通院が可能な方
3. 就寝前に必ず点眼が可能な方
■治療の流れ
1. 初回検査(自費診療)
検査、診断、治療内容の説明を行い、点眼薬の使用を開始します。
2. 1ヶ月検査
検査、診断、点眼薬を処方します。
点眼薬による異常が認められた場合は治療を中止する場合があります。
3. 定期検査
検査、診断、治療薬を処方します。
3ヶ月ごとに定期検査を行います。(定期的に視力や眼軸長等の検査をし、治療を評価します。)
※治療は2年以上継続して頂くことをお勧めします。
クロセチン(サプリメント)による近視抑制
近視と関連があると考えられている遺伝子はいくつかあります。
そのなかでも、EGR-1という遺伝子は、近視進行を抑える働きを持つと言われています。
慶応義塾大学とロート製薬は、クチナシ由来の色素成分「クロセチン」に近視進行抑制に
関連する遺伝子の一つである「EGR-1」の発現量を増やす効果があること、近視誘導モデルで
クロセチンが近視進行の程度を示す「眼軸長の伸長」や「屈折度数の変化」を有意に抑制すること
を確認しました。
これはクロセチンが近視進行を抑制する可能性を示唆する新しい知見であり、この知見を発展させる
ことで、小児の近視進行抑制に有用な製品の開発につながることができるとしています。
サプリメント情報
・ロートクリアビジョンジュニアEX:クロセチン含有サプリメント(ロート製薬)
クロセチン7.5mg配合。
・ロートクリアビジョンジュニア:クロセチン含有のドーナツ型チュアブル(ロート製薬)
クロセチン2.5mg、ルテイン、ビルベリー含有。